この記事では、ライセンス料金の変容を軸にして、FileMaker製品の歴史やこれまでに至る経緯を簡単に振り返ってみます。
長い間、38,000円のパッケージ販売だった
(出典:ヨドバシ.com)
バージョン12まではFileMakerは普通にパッケージとして売られているものがメインで、FileMaker Pro 12の価格は38,000円でした。Amazonやヨドバシカメラなどでお買い求めになっていたケースが多いと思います。また、当時FileMaker Serverは128,000円でした。
企業ユーザーはボリュームライセンスがメインに
FileMaker 13では、FileMaker Serverのパッケージ版がなくなり、サーバーはボリュームライセンスのみの販売に変更されました。FileMaker Serverは99,000円に値下げされましたが、同時接続ライセンスが登場して、サーバー接続時のFileMaker Goに対して課金されるようになりました。インスタントWeb公開から刷新されたFileMaker WebDirectにおいてもユーザー数に応じて接続ライセンスの料金が増えていくように変更されたのもこのときです。
そして、バージョン13以降では2年ごとにライセンスが変更されており、バージョン15ではFLT(FileMaker Licensing for Teams)へと刷新され、バージョン17ではユーザライセンスへと変わり、年間契約風味にシフトしつつ価格も次第に上昇してきています。
(出典:FileMaker Licensing for Teams – ファイルメーカー ソフトウェア ライセンス プログラム)
毎年のように変わるライセンス体系が多くのユーザーに不評で混乱を招き、そして、FileMaker 17で現状のライセンス体系になるに至って、「もうやめたいな」と思っている古くからのユーザーは結構いらっしゃるような印象を持っている、というのが正直なところです。
FileMaker 17でProがなくなり、サーバーは実質付属品に
FileMaker 17以降は、FileMaker Proはなくなり、それまで開発者向けの位置付けであったFileMaker Pro Advancedに一本化されました。現在のところ、FileMaker Pro Advancedのみはパッケージ版のシングルライセンスとして個人向けに売られており、価格は57,600円です。
開発者向けの機能が必要なくても、FileMaker Proの代わりにFileMaker Pro Advancedを使う必要があるという状況になってしまっています。現状では、法人向けはボリュームライセンスプログラムとして5ユーザーからという販売体系であり、FileMaker 17で導入されたライセンス体系であるユーザライセンスであればサーバーライセンスが3つ付属、というようになっています。
(出典:FileMaker Store)
これはFileMaker Storeのスクリーンキャプチャーですが、1人月額1,600円、とサブスクリプションのような打ち出し方がされています。
税法ではソフトウェアは5年償却
今の税法では、ソフトウェアの減価償却は5年です。つまり、日本の税務署が考えているソフトウェアは一般的に5年の寿命(耐用年数)があると捉えることができます。
(参考)No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数|国税庁
度重なるライセンスの変更を経て、いつの間にかパッケージソフトからボリュームライセンスがメインになってきている状況ですが、かつて38,000円のソフトを1本ずつ買っていればよかった時代、ファイルメーカーにも牧歌的な時代がありました。38,000円のものを買って5年使うと、5人で19万円です。
いつの間にかライセンスコストが2~3倍になった
現在のサブスクリプションで年間契約で毎月いくら、という体系で計算すると、5ユーザーなら5年間で48万円もかかります。これにはアップグレード料金相当も含まれてはいるのですが、それにしても2.5倍は高い、というように思われるのが普通ではないでしょうか。
今こうした状況を踏まえて、ユーザーに求められているサービスとして私たちが打ち出したいと考えているのが「Webアプリケーションでコストを削減」というものです。